• ~旅と日々の出会い~

一話 旅は愛というプロセスをはこぶ(仮)

はじめに (つぶやき)

川瀬みなみ、小学生の頃から「かわせ みなみ」の前をとり「かわせみ」と呼ばれてきた。意地悪な友達は、わざと「なみ(並)ね」と付け足す。

言葉が好き。その言葉を生み、言葉を繋ぎ重ねる感性も好き。なのに、感情から言葉を創り出すのが苦手。自己の感性表現が下手ということ。時に、うまく言い表せないとショックを受け悲しくなる。ひとり旅に出る時は小さな本を鞄に忍ばせる。心の機微を表現した古い小説がいい。旅先で感激を言葉に表せなくなると本を読んで励ます。いつか、この喜びや気持をうまく表現できるようになりたい。

こんどの島根旅は、川端康成先生の『伊豆の踊子』にした。インターネットで随分前の山口百恵ちゃんの映画『伊豆の踊子』を見、川端康成先生の本が気になった。旅先で男の人と恋に落ちる、そんなことは考えていない。それに一目ぼれの延長の恋など信じない。言葉の積み重ねの先に恋があると思う。

出足のフレーズがいいわ。「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、・・・」。それって『雪国』の始まりの「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった・・・」と同じで、次の情景や心理の綾や機微を言葉でうまく感じさせてくれる。言葉で描く感性の情景です。

屁理屈な女かしら。でも、普通の女です。東京のマーケテイング会社でデータ集計と分析が仕事。プロモーションや事業戦略の企画会議にときには出席します。でも、発言が採用されることはあまりない。同期はみんな寿退社。みんな夢を抱いて入社したのに、家庭にはいった。もちろん、子育てがすこし一段落すると派遣会社に登録して企業の企画部門で頑張っている同期もいる。年に一度、集まる。ここでも話が上手くかみ合わない。環境が違うのではなく、私という存在を上手く伝えられないからだ。しだいに旅もひとりが好きになった。孤独が好きなわけでもないのに。

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